【ブックレビュー】めたもる。(日比生典成)
神様がくれた御札は、2人の関係を大きく変えてゆく―
なんでもない、それでいて、ちょっと不思議な短編集。
ここ最近、メディアワークス文庫ばかり読んでいます。
作家で言えば、有川浩なんかも結構読んでいますが、文庫で言えば圧倒的にメディアワークス文庫が多いです。
さて、今回はメディアワークス文庫より、「めたもる。」のレビューです。
第一話の主人公は、心優しい青年。
道に落ちているゴミを拾ったり、猫を助けたり、本当に些細なこと。
そんなある日、主人公の前に狐の神様が現れる。
狐の神様は主人公の善行に感動し、贈り物をしたいと言ってくる。
そして、主人公は何にでも変身できる御札を渡され、狐は去ってゆく。
最初は半信半疑の主人公も、御札を使い猫の姿に変身するのだった。
内容は、現代メルヘンですかね。
正直、童話といったほうが適当な気はします。
このあと主人公はある女性に出会い、仲良くなります。
その女性もまた主人公と同じく、些細な善行をしていました。
2人の関係は、他でもない狐の神様によって変化してゆきます。
全4編の短編集で、2話では主人公が変わります。
いくつのかの話で共通しているのは、
「狐に御札を渡され、主人公達はその御札を誰かのために使う」ということです。
狐の御札は「善」にも「悪」にも利用できます。
この本の登場人物たちは、皆それを「善」のために、また誰かを想い、使います。
主人公達は何も特別なことを考えているわけではありません。
彼、彼女らにとって、それは当たり前のことだからです。
この本は、最初から最後まで素直すぎるくらいに進んでいきます。
「そうだったのか!」や「裏切られた!」といった展開が全くありません。
なので、好きになれない方もいるでしょうし、逆に大好きになれる方もいると思います。
読んでいると優しい気持ちになれる、ちょっと不思議なお話。
評価は74/100、私の中ではハマりました。
ちょっとマイナス点が、
・展開が短調
・あらすじで損してる
・メルヘンではない
「日常だけどちょっと不思議で、心温まるお話が読みたい!」
という方にはぜひオススメしたい一冊でした。
今回は短いですが、これ以上はネタバレになりそうなので控えます。
もし良ければ、読んでみてください。
レビューを書きたい本が溜まっているので、近々また投下するかもしれません。ではでは。